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メモ【繰延税金資産に関する質問】

アクションの会員さんから届いた質問のメモです。

先日、日本開閉器が

『業績予想の修正及び繰延税金資産の計上に関するお知らせ』

というIRを発表しました。

その内容で、繰り延べ税金資産について記載をしていますが、

これがいまいちピンときません。

Q1.繰延税金資産を計上すると書いてありますが、

 実際の決算書には「法人税等調整額」とあります。

繰延税金資産は要注意と習いましたが、同様に「法人税等調整額」も注意?

 

A1.繰延税金資産はその名の通り、資産ですから貸借対照表に計上されます。

 これに対して、法人税等調整額は、損益計算書に計上されます。

 簿記の仕訳で表現すれば、

 (借)繰延税金資産 237百万円/(貸)法人税等調整額 237百万円

 となります。

 原則として、繰延税金資産の増減額と同じだけ、法人税等調整額も変動します。

 したがって、繰延税金資産と法人税等調整額は鏡の表と裏のような関係です。

 (現実には他の要因もあるため、決算書上、両者に差異が発生することがあります。)

 

 ゆえに、法人税等調整額にも注意すべきか?と聞かれれば、注意すべきです。(ただし、繰延税金資産の方が重要度が高いです。)

 

Q2.この調整は、どの期の法人税?に対する調整でしょうか?

A2.将来発生するはずの法人税に対する調整です。

 日本開閉器工業には税務上の繰越欠損金があります。

 このため、将来、利益がでたとしても、その範囲内では、法人税を支払う必要がありません。

 つまり、法人税を支払わなくてよいという税務上のメリットがあるわけです。

 

 ところが、この税務上のメリットを享受するためには、そもそも日本開閉器工業が将来利益を稼ぎ出さなければなりません。

 (利益がなければ、このメリットは受けられません。)

 

 前期においては、日本開閉器工業は赤字であったため、

 将来利益を稼ぎ出せるとは(会計的には)とても言えなかったわけです。

 しかし、今期、業績が好転して、将来利益を稼ぎ出せるめどが立ちました。

 将来、法人税を支払わなくて良いというメリットを享受できそうになってきたのです。

 具体的には237百万円です。

 過去からの繰越欠損金がたくさんあるため、将来利益を稼ぎ出しても、法人税を237百万円まで納めなくて良いのです。

 このような税務上のメリットを、見越して、当期に法人税等調整額として、利益のような形で損益計算書に計上したのです。

 

 実態がない利益なので、とても理解しにくいと思います。

 

 将来利益が出そう→ということは、税務上のメリットが受けられそう

 →ならば、そのメリットを当期の損益にあらかじめ取り込んでおこう

 →繰延税金資産を計上し、損益計算書には法人税等調整額として利益を計上

 

Q3.決算書は法人税等の合計がマイナスになっています。

 つまり、払いすぎた税金が戻っているということですか?

A3.上記の通り、払いすぎた税金が戻っているのではなく、

 過去からの繰越欠損金があるため、将来利益を稼ぎ出しても、法人税237百万円までは、納税しなくてよいということです。

 

 分かりやすくするために法人税率を仮に50%とすれば、

 税引き前利益が237百万円÷50%=474百万円になるまでは、

 法人税がゼロ円ですむということになります。

 

 

Q4. 繰延税金資産を計上するメリットは何でしょうか?

今回の決算では、繰延税金資産を計上しなくても利益は出ていますし、将来利益が出たときに、税金が安ければそれでも良いような気がするのですが、いかがでしょう?

 

A4.これは、ごもっともな意見だと思います。

繰延税金資産を計上することのメリットは、

貸借対照表の面から言えば、将来税金が安くなる権利(のようなもの)を持っていることを示せること。

損益計算書の面から言えば、税引前利益と法人税等(法人税等調整額を含む)との割

合が、毎年概ね40%程度を維持できること、

の2点といえます。

 

ただ、おっしゃるとおり、将来利益が出た年に税金が安ければそれでいいじゃない、

というのも1つの考え方だと思います。

2011.11.28

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