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公認会計士に学ぶ!銘柄選択に役立つ主要6業界を徹底解説!第1回 日本を代表する「製造業」について学ぼう!③
では、これは今までに皆さんに聞いたことがない質問です。行きます。
下の3つの競争状況、競争環境の中で、皆さんならどこで戦ってる企業に投資をしたいですか?
1つ目はAタイプ、成熟市場です。市場の規模が最初は100とすると、横ばいか、ジリジリと減っていってる。競合がもう5社ぐらいに絞られていて、結構ギリギリの戦いを繰り広げてる、みたいなマーケットで戦ってる企業に投資したいか。これがAですね。
B、マーケット全体で見ればどんどん増えていっている。企業もいっぱいあります。小さいシェアの会社がいっぱいあります。その中で徐々にシェアを伸ばしていく会社もあれば、シェアを失われていっている会社もあります。
C、市場規模はほぼ横ばいです。ただ、もうとにかく小さい企業がいっぱいあって、その中でそこそこな規模でジリジリ大きくなってるというタイプですね。
皆さん、質問です。A、B、Cの中でどれに投資したいですか?Bが人気ですね。どうですか?私もBが一番いいです。次はあえて言うならばCです。「もうAに投資するぐらいだったらやめとくわ」みたいな、そんな感じですね。
考えてみてください。日本の皆さんが投資してる企業の多くはどのタイプですか?日本国内でビジネスをしてる企業って、おそらくほとんどAタイプじゃないでしょうか。Aの会社は多いでしょう?もう市場は成長していかないのに、その中でちょっとだけ他社と差別化して、なんとかギリギリシェアを奪おうと頑張っている。それはもちろん一生懸命やっていいことなんですけれども、投資する側からすると、ちょっと面白みに欠けますよね。
でもこれじゃダメだと思っている日本企業もいっぱいあるわけですね。後で見ますけれども、海外に出ていってる企業もいっぱいありますね。これはもう新興国ですよね。あるいは、アメリカも実はこんな感じですね。マーケットがとにかくどんどん大きくなっています。そんな中でどこが勝ち組かまだよく分からない、混戦状態ですね。こんなところで頑張ってる企業がありますね。
後で紹介しますけれども、例えば日本ペイントや関西ペイントのような塗料の業界はBに当てはまりますね。あるいは、建設機械の会社なんかも実は当てはまりますね。こういうところで混戦の中にガーッと突撃してるという、そういう会社がやっぱりいいですね。Cタイプもあります。アクションで過去に紹介した銘柄でいうと、例えばピックルスとか、ハイデイ日高とか、とにかく飲食とかの超巨大なマーケットの中で、もう本当に豆粒みたいな規模ですごく元気があるという会社ですね。これもいいです。いいですけど、10年、20年投資できるかっていうと、そこはちょっとハテナとなりますね。
ということで、これからお話しする全業界シリーズのベースにある考え方についてお話ししてきました。ここまでよろしいでしょうか?前振りだけで25分も話してしまいましたけども、これだけでも面白いでしょう?面白くないですか?人口の話をしましたね。中間層が増えてるっていう話をしましたね。大きく3つの競争タイプを示して「できればBタイプで戦ってる企業に投資したら面白そうですよね」と、そんな話をしましたね。応援したくなりますよね。面白いですね、株式投資って。
では、ここからは製造業に特徴的、製造業に投資をするならば、こういうところに気を付けましょうという話をしていきます。製造業特有の話ですね。まず今の話を踏まえまして、1つ目の製造業への投資のポイントは、海外に売上がある。それも少なからずある。少なくとも10%ぐらいはないと、国内でだけ戦ってる製造業って、まさにこのAタイプになっちゃうわけですよね。これも絶対に避けたい。Aタイプにならないためには、Bタイプのマーケットで頑張ってるよということが必要ですから、だから、海外売上が少なからずあるということがポイントです。
2つ目、世界で戦ってることを前提として、できたら世界の巨大市場の中でトップ10ぐらいに入ってると最後に生き残れそうですよね。混戦のBタイプのマーケットの中でベスト10ぐらいには入っていてほしいなということです。あるいは、世界、グローバルで小さなマーケットでニッチ、グローバルな中ではニッチなところで高シェアを取ってるよというタイプか、どちらかだと思います。
そして、後でちょっと具体的な企業を挙げて詳しく見ていきますけれども、3つ目、自己資本比率というものを強調しておきたいと思います。これが40%程度あるということです。これをちょっと考えてみてください。なぜでしょうか?自己資本比率は高いほうがいいんですけれど、製造業の場合は、特に自己資本比率が高いということが大事になってきます。なぜでしょうか?
「倒産しづらい」。そうですね、自己資本比率が高いということは、倒産しにくいということを意味しています。「在庫を抱える」「景気循環」という意見が出ました。そうなんですよね。いま見ているのは製造業の会社ですけれども、多くは景気循環の影響を受けやすいビジネスです。ということは、リーマンショックのようなことがもしもあれば、突然売上がストップということが起こり得るということです。景気循環の影響を受けやすいということは、そういうことですね。なので、景気循環の影響を受けやすいからには、万が一のときに倒産しにくいように自己資本比率はよく見ておきましょうねということです。高いほうがいいです。(④へつづく)
2017.10.18
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